2019年8月12日月曜日

ガレージキット


最近、最寄り駅周辺の本屋とツタヤが立て続けに閉店した。

自分が子供の頃は
各駅に一店は本屋があったが、
その時代に比べると、明らかに本屋、
さらにはビデオレンタル(DVDレンタル)が少なくなった。

考えるまでもなく、WEBの影響だろう。
いまや本、漫画、映画はWEBで見るのが普通なのかと思う。

私の世代だと、やはり「物」が存在しないとピンとこない所があり、
特に本はパソコン、スマホで読むのはしっくりこない。
音楽もデータで買うよりも、CD、レコード、カセットでの購入のほうが好きだ。
だが、便利なのは間違いなく、今後もこの流れは続いていくことでしょう。


さて、今年、久々にガレージキットイベントに出展することにした。
昔は毎年のように参加していましたが、
今回は3年ぶりの参加となる。

知らない人のために書きますと、
個人レベルで作成した模型(原型)をシリコンで型取り、
無発泡ウレタン材料で複製したものを「ガレージキット」と呼ぶ。
個人作成のプラモデルといったイメージだ。

それらガレージキットの即売会のようなものが、
ガレージキットイベントだ。

例えば「ガンダム」に出てくるロボットを売ろうとすると、
そこには版権が存在するため、
作るのは自由だが、勝手に売るわけにはいかない。
だが、ガレージキットイベントではイベント運営会社が版元と調整し、
その日のみ有効な「一日版権」を取得でき、販売が許されるのだ。

有名なところだと「ワンダーフェスティバル(通称ワンフェス)」は
知っている人も多いと思います。
今回私が参加するのはC3 AFAマーケットというイベントです。
ワンフェスと違い、ガンダム系の作品も版権が降りるので、人気のイベントです。
ちなみにこんなものを販売予定です。

久々の参加ということで、
少し他の参加者(ディーラーと呼称されます)を調べてみて驚いたことがある。

今はPC上で3Dデータで造形し、
それを3Dプリンターで出力して原型とするのが
ひとつの潮流のようだ。
もちろん今まで通りに手作りで原型を作るディーラーも多いが、
データを使う人たちも多いことに驚いた。

手作り原型の難しいところに精度の問題がある。
どうしても手で作っていると左右対称が出しにくい。
その辺はデータで作成したほうが間違いなく有利だろう。
また、立体センスを問われるのはデータであろうが、
手作りであろうが同じであり、
そこに作家性も表現できるだろう。

そのうち、立体ではなく、データを販売するディーラーも出てくるのかもしれない。
(ひょっとするともう居るのかも。)
いつかデータの取引を主体とした
WEB上のガレージキットイベントなんかも出てきたりして。

興味深く感じていながらも、
上述の通り、「物」に憧れてしまう私としては
なんとなくの違和感を覚えてしまう。

データに移行しているディーラーの中には
もともと手作り原型で名を馳せていた人たちもいる。

最高峰レベルのガレージキット原型師たちは恐ろしく手先が器用だ。
余談ですが、昔、テレビ東京でやっていた「TVチャンピオン」という番組で
「手先が器用チャンピオン」に選ばれたのも有名原型師さんだった。

そういう怪物たちの超高精度の手作り作品(の複製)を見たり、
手に入れたりっていうのも
楽しみの一つだったんだけどなぁ。
とか思って少し寂しくなった。

物には意思が宿ると思っている。
徹底的に作りこんだ手作業品にはそれ相応に意思が宿る。
その意思は2進法のデータに翻訳できるようなものではない。
そして、そんな意思が詰められた作品の方が心に届くものだと思う。

それは超高精度であろうがなかろうが同じだ。
意思が詰め込まれたものは美しいと思っている。

自分の作品の精度の低さの言い訳でもありますが・・・







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