2021年6月4日金曜日

聴く

 

一番最初に買ったCDは何だったろうか。

ちょっと自信がないが、中学の時に買った

原由子のソロアルバムだったかもしれない。

 

その後、高校生になり、音楽に目覚めると、

音楽好奇心があふれ、とにかくたくさんのCDを聴くようになった。

とはいえ、なかなか買えるものでもなく、

たいていはレンタルだ。


親にうそを言って学食代を多めにもらい、

一番安い掛蕎麦で済ませて、差額を貯める。

 

お金がたまると近所のCDレンタル屋の回数券を買う。

回数券は10枚分の料金で11枚まで借りることができるのだ。

気になるものを片っ端から借りた。

 

そして近所の古道具屋に行き、

誰かが一度使ったカセットテープを買う。

ちょっと気持ち悪いが、当時はそんなものも売っていた。

たしか110円だったかと思う。

たいていはラジオや何かの講演などを録ったカセットだったが、

中にはロックもあったりした。

 

まずはそれを聴いて、気に入ったらそのまま残し、

いまいちだったらその上に借りてきたCDをダビングする。

ちなみに頭脳警察の1stはこの「古道具屋カセット」を通して出会い、

今でもそのカセットは持っている。

 

 

お金がないのでCDを買うことは少なかったが、それでもたまには買った。

そんな折、友人に中古CD屋の存在を教えてもらう。

今は亡き、南池袋のレコファン。

最初に店に行ったときは宝の山のようで、うれしくて楽しくて

ろくに知らないジャンルの棚まで見てまわった。

ブルーススプリングスティーンのアルバムを買ったのを覚えている。

 

 

当時はとにかく1枚のアルバムの重みが大きく、

買ったら(借りたら)絶対に通して聴いた。

あまり好きじゃないと思っても、絶対全部を聴く。

 


その後、年齢を重ねるにつれて、

聴き方が雑になっていった。

持っていないアルバムだからとか安いからという理由で購入し、

ろくに聴かずに棚に置くようなことも増えていった。

 

若いころに聴いていたものを今聴くとちゃんとアルバムの全体を覚えている。

次にどんな曲、パートが来るか覚えている。

「聴く」とは本来こうあるべきだろう。

棚の肥やしを増やすのは音楽を求める行為ではなく、

コレクションでしかない。

自分はやっぱりコレクターよりもリスナーでありたい。

 

コロナ以降、自宅にいる時間が増えたせいか、

音楽をよく聴くようになった。

保有しているCD、レコードを片っ端から聴いている。

中には購入時にろくに聴いていないものもあったりするが、

改めて聴きなおしていくなかで

自分の好きなもの、求めるものは何なのかが再認識される。

 

聴きなおしながら、改めて自室の棚を整理する。

聴きなおしていく中で自分の中の棚も同様に整理されていく。

いい感じだ。

こうしてこれからも音楽を聴き続けていきたい。