愛聴盤紹介、第3弾はこちらです。
NAPALM
DEATHのTHE PEEL SESSIONS
NAPALM
DEATHが1987年、89年、90年に
BBCのPEEL
SESSIONSに出演した際のライブ収録で、
バンド公認の音源ながら、ディスコグラフィーには乗らない
オフィシャルブートといった感じです。
NAPALM
DEATHと言えば、グラインドコアの始祖と目され、
世界にブラストビートを広めたバンドの一つかと思います。
いわゆる激しい音楽、うるさい音楽で、今では普通に導入されるブラストビート。
その黎明期である80年代中盤ごろから
各地でブラストビートを導入するバンドが現れ、
それぞれが表現方法を発展させていきます。
このブラストビート黎明期の音楽が好きでして、
NAPALM
DEATHのほか、SOB、SIEGE、FEAR OF GODも好きでよく聴きます。
今ではブラストビートというと一般的な奏法になっており、
スマートに使いこなすバンド、プレイヤーが多いですが、
このころのブラストはどのバンドも粗野というか力づくというか、
鬼気迫るものがあります。
このTHE PEEL SESSIONSでも87年、89年のライブあたりは濁流のような音像です。
当時、ノイズ系のアーティストが
グラインドコア、デスメタルに接近する場面が多かったですが、
この濁流感は確かにノイズに近い印象です。
90年のライブになるとツインギターになり、
ボーカルもリードリアンからバーニーに代わり、
だいぶ重量感が出て、少し音が整理され、
この後のデスメタル化をうかがわせていますが
まだまだ力づくな感じが残っており、聴いていて怖い。
このTHE PEEL SESSIONSに収められている曲群をオリジナルアルバムで聞くと、
音がローミッドにたまりがちだったり、
謎のリバーブ感、フェイザー感もあって爽快感は少ない。
これはこれで好きなのですが、ちょっと聴き疲れします。
THE PEEL
SESSIONSでは比較的すっきりした音像にもかかわらず、
オリジナルアルバム以上に暴力的で、正直何やっているかよくわからない・・・
ですが、ライブゆえの有無を言わせぬ直球感、爽快感があります。
足りないものを初期衝動の強さで補っている感じ。
この感じはこの音源以外ではそうそう味わえない。
すごく独特な味わいのある1枚なのです。
これを聴いた後に最近のグラインドコアバンドを聴くと洗練っぷりに驚きます。
ちゃんと各楽器がぶつかりすぎない音域に分かれ、
位置も整理されている。
レコーディング技術、音楽性の進化を感じておもしろいですが、
やっぱり、心のどこかでグラインドコアにはサービス精神の無さを求めちゃいます。
それじゃ売れないので徐々に進化していったのでしょうけどね。