先週末、“入谷なってるハウス”での
「新・即興の日」というイベントに参加してきました。
同イベントは“なってるハウス”で定期的に開催されている
自由参加型のイベントでして、
その場に集まったミュージシャンどうしで即興セッションを行うというもの。
私は過去にロック的なジャムセッションはやってきましたが、
いわゆる「完全フリー」な即興セッションをやったことがない。
ただ、そういう音楽は好きでして、
いつか自分でもやってみたいと思っていました。
そんな中、“なってるハウス”のスケジュールを見ていて
このイベントの存在を知り、興味を持った次第。
イベントは13:30開場、14:00開演。
開演までの間に続々と参加希望者が来店し、
名簿に名前と演奏する楽器を記載する。
その名簿に基づき、イベントホストである
ギタリストの林隆司さんが演者組み合わせを指名、
順番にステージに上がり、それぞれ10~15分ほどの演奏をおこなう。
今回の参加者は10人強だったので、
閉演となる17時ころまでにそれぞれ3回ずつステージに上ることになる。
演者組み合わせはおおむね名簿順になるのですが、
実際のところは指名されるまで分からない。
演者間での準備、相談はもちろん、
どんな演奏をしようかな、なんて事前検討もできないバーリトゥードだ。
初挑戦という緊張も手伝って開場直後の13:35にはお店に到着。
その時点で1人参加者がいらっしゃり、私は2人目の参加者として名簿に名前を書く。
一応お店の人に初参加であり右も左もわからない旨を伝えるが、
「そうですか」くらいで、こちらの緊張が伝わらない。
なるほど、これは緊張を持って臨むものではなく、
自然体でいくものなんだなと直感する。
名簿の序盤に名前を書かせていただいたことで、
開演後、最初の演者として指名される。
初挑戦、初参加なのに1番手か・・・
まずは他の人の出方を見たかったなぁと思いつつもステージに上がる。
逃げれば一つ、進めば二つです。(©水星の魔女)
お相手はドラム奏者でもちろん初対面。
よろしくお願いしますとお互いに挨拶をし、演奏開始。
ドラム相手なので、ビートを刻んでもらえるなら、
いわゆるロックのジャムセッションのように弾くこともできるな。
なんて思っていたのですが、全く刻んでくれない。
相手の出方に反応しながら、いわゆる「音楽」としての構築を排除して演奏。
10分ほどで演奏を終え、
「ありがとうございました」とごあいさつしてステージを降りる。
なんだか武道の組手みたいで面白い。
その後は他の方々の演奏を楽しみつつ、
2回目、3回目の演奏をさせていただく。
2回目はスティールギター+エフェクトの方とアルトの方とのトリオで、
3回目はアルト×2、ウィンドシンセ(電子サックス)の3名とカルテットで演奏。
そんな感じであっという間に終演の時間。
さすがは名門なってるハウス。
皆さん、演奏力が高く、音楽への熱意を感じる。刺激になります。
本当に勉強になりました。
ロックやジャズといったジャンルが決まったセッションですと、
それ相応のイディオムが存在するが、
完全フリーとなると本当に各人で臨み方が違う。
相手を無視してかかる人もいれば、ある程度の構築を試みる人もいる。
ただ、誰も共演者に何かを望むことはない。
一般にその楽器に望まれる要素
(例えばドラムだったらビート、ベースだったらリズムとか)すらも
全く意に介さない。
誰もが自由で平等。
そして何が起こるかわからない無常の中で、自分も無常の一部になる。
ある意味ですごく平和で温かい音楽経験だ。
人生の、命の縮図のようでもある。ちょっと大げさだけど。
そんな中で自分の在り方を明確に示せる
「フリーの巨人たち」のほんとうの凄さが
少しわかった気がする。
私は構築された音楽が大好きですが、
なるほど、フリーにはまた別の楽しさ、美しさがありますね。
これは癖になります。
新しい経験の場を設けてくれた“なってるハウス”とホストの林さんに感謝です。
今後はフリー演奏にも積極参加していこうかと思います。