2024年7月17日水曜日

新・即興の日

 

先週末、“入谷なってるハウス”での
「新・即興の日」というイベントに参加してきました。

 

同イベントは“なってるハウス”で定期的に開催されている
自由参加型のイベントでして、

その場に集まったミュージシャンどうしで即興セッションを行うというもの。

 

私は過去にロック的なジャムセッションはやってきましたが、

いわゆる「完全フリー」な即興セッションをやったことがない。

ただ、そういう音楽は好きでして、

いつか自分でもやってみたいと思っていました。

 

そんな中、“なってるハウス”のスケジュールを見ていて

このイベントの存在を知り、興味を持った次第。

 

イベントは13:30開場、1400開演。

開演までの間に続々と参加希望者が来店し、

名簿に名前と演奏する楽器を記載する。

その名簿に基づき、イベントホストである
ギタリストの林隆司さんが演者組み合わせを指名、

順番にステージに上がり、それぞれ1015分ほどの演奏をおこなう。

 

今回の参加者は10人強だったので、

閉演となる17時ころまでにそれぞれ3回ずつステージに上ることになる。

 

演者組み合わせはおおむね名簿順になるのですが、

実際のところは指名されるまで分からない。

演者間での準備、相談はもちろん、

どんな演奏をしようかな、なんて事前検討もできないバーリトゥードだ。

 

 

初挑戦という緊張も手伝って開場直後の13:35にはお店に到着。

その時点で1人参加者がいらっしゃり、私は2人目の参加者として名簿に名前を書く。

一応お店の人に初参加であり右も左もわからない旨を伝えるが、

「そうですか」くらいで、こちらの緊張が伝わらない。

なるほど、これは緊張を持って臨むものではなく、

自然体でいくものなんだなと直感する。

 

名簿の序盤に名前を書かせていただいたことで、

開演後、最初の演者として指名される。

初挑戦、初参加なのに1番手か・・・

まずは他の人の出方を見たかったなぁと思いつつもステージに上がる。

逃げれば一つ、進めば二つです。(©水星の魔女)

 

お相手はドラム奏者でもちろん初対面。

よろしくお願いしますとお互いに挨拶をし、演奏開始。

ドラム相手なので、ビートを刻んでもらえるなら、

いわゆるロックのジャムセッションのように弾くこともできるな。

なんて思っていたのですが、全く刻んでくれない。

相手の出方に反応しながら、いわゆる「音楽」としての構築を排除して演奏。

 

10分ほどで演奏を終え、

「ありがとうございました」とごあいさつしてステージを降りる。

なんだか武道の組手みたいで面白い。

 

その後は他の方々の演奏を楽しみつつ、

2回目、3回目の演奏をさせていただく。

 

2回目はスティールギター+エフェクトの方とアルトの方とのトリオで、

3回目はアルト×2、ウィンドシンセ(電子サックス)の3名とカルテットで演奏。

そんな感じであっという間に終演の時間。

 

さすがは名門なってるハウス。

皆さん、演奏力が高く、音楽への熱意を感じる。刺激になります。

本当に勉強になりました。

 

ロックやジャズといったジャンルが決まったセッションですと、

それ相応のイディオムが存在するが、

完全フリーとなると本当に各人で臨み方が違う。

相手を無視してかかる人もいれば、ある程度の構築を試みる人もいる。

ただ、誰も共演者に何かを望むことはない。

一般にその楽器に望まれる要素
(例えばドラムだったらビート、ベースだったらリズムとか)すらも

全く意に介さない。


誰もが自由で平等。

そして何が起こるかわからない無常の中で、自分も無常の一部になる。

ある意味ですごく平和で温かい音楽経験だ。

人生の、命の縮図のようでもある。ちょっと大げさだけど。

そんな中で自分の在り方を明確に示せる
「フリーの巨人たち」のほんとうの凄さが

少しわかった気がする。

 

私は構築された音楽が大好きですが、

なるほど、フリーにはまた別の楽しさ、美しさがありますね。

これは癖になります。

新しい経験の場を設けてくれた“なってるハウス”とホストの林さんに感謝です。

 

今後はフリー演奏にも積極参加していこうかと思います。



 

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