大先輩であるcorruptedのギタリスト横田さんとお話している中で、
80年代以降にプログレバンド(GENESIS,EL&P辺りが顕著)が
長大な作風から、5分以内のコンパクトな作風に
移行していった現象について語り合ったことがある。
一般にはラジオ、テレビでかかりやすいように
ポップス化していったという見方が多いですが、
氏から、大曲でなければ表現できなかった自分たちの世界を
短い中で表現することができるようになったからなのではないか、
短くなければ伝えられないことも多いことに気づき、
その方法論を磨いていったのではないか、
といった説をうかがい、慧眼に感服したことがありました。
確かに音楽好きな人間であれば、
10分超えの曲であっても違和感なく聴けますが、
普段から音楽に触れていない人には長すぎるだろう。
そういう人たちにも聴いてもらえて、かつ感動させるとなると、
そこにはいろいろな「わざ」が必要になる。
ましてや、長曲を作り続けてきたバンドがそれをやろうとなると、
その苦戦はすごかっただろうし、ハードルは高かったはずです。
それを成し遂げてきたプログレバンドたちは、
「商業化した」とか揶揄されることもありますが、
大変な挑戦をして成功したのだと思うと、改めてすごさに気づかされます。
同様にコンパクトに世界観を表現する音楽というと、
映画音楽が挙げられるかと思います。
ここでいう映画音楽とは挿入曲ではなく、メインテーマ曲のこと。
たいていはオープニングで3~4分のメインテーマが流れ、
そのメロディが映画自体を印象付けたりもする。
そこで使われる楽器は多様ですが、
やはりオーケストラ楽器が使われることが多いと思います。
同じようにオーケストラで演奏される交響曲などでは1楽章で10~15分、
それが通常4楽章となっているので、1時間くらいあるのが普通です。
映画音楽では、その15分の1。
緩急をつけて3~4分にまとめあげる。
しかも映像とのマッチングも必要であり、
映像より目立ってもダメだし、逆に映像に負けてもダメ。
そんなバランス感覚も必要になる。
(これは音楽側だけの課題ではありませんが。)
本当にすごい作曲能力がないとできない。
※念のためですが、クラシック音楽や交響曲と映画音楽では
作品の意図、目的、歴史が全く違いますので、
全くの別物であり、横並びで比較するものではありません。
そういった意図ではなく、使用楽器が近似であることから、
対比したような記述になっております。
どちらも素晴らしいですし、どちらも大好きです。
名作とされる映画音楽は本当に素晴らしく、
オープニングでその曲が鳴っただけで引き込まれる。
「ゴジラ」「スターウォーズ」「夕陽のガンマン」・・・
いずれもあの音楽無くしてどこまで名作足りえたか。
話が長くなりましたが、
今回は私が過去に感動した映画オープニング3選のご紹介です。
いずれも、短い中で音楽、画像が絶妙に絡み合っており、
これだけで感動させられてしまう。
また、映画を見た後にもう一度オープニングを見ると、
そこに表現されているものの深さにさらに気づかされたりもする。
ではまず1つ目。
コーエン兄弟の「FARGO」です。
この映画は当時、予備知識なく見たのですが、
オープニングを見ただけで感動して泣いてしまいました。
私は若いころにビデオレンタルで働いていたこともあり、
結構な量の映画を見てきましたが、
オープニングだけで泣いたのは後にも先にもこの映画しかない。
音楽を担当しているのはカーターバーウェル。
この方はコーエン兄弟の映画では常連の音楽家でして、
「バートンフィンク」なども素晴らしい。
コーエン兄弟作品以外でも「キャロル」なども素晴らしいです。
次は「DANCER IN THE DARK」
こちらは主演のビョークによる音楽です。
抽象的な画像との荘厳な音楽の対比が素晴らしいです。
盲目の主人公の心象風景なのでしょうか。
映画を見た後だと、
オープニングの意味合いが変わってくる好例かと思います。
ビョークは本当にすごいですね。
色々なスタイルの音楽を常に一定水準以上に作り上げ、
さらにこの映画では女優としても名演技を披露しています。
・・ですが、この映画、重すぎるので、2度と見れない。
視聴後、かなり落ち込まされる、いわゆるトラウマ系映画です。
余談ですが、私の中でのトラウマ映画3選となりますと、
「ダンサーインザダーク」「ミリオンダラーベイビー」「火垂るの墓」となります。
「火垂るの墓」にいたっては
こうして名前を書いているだけで胸が締め付けられます・・・
最後は「HANA-BI」
音楽は言わずと知れた久石譲さんですね。
たけしさんの色彩豊かで素朴な絵、途中に入る北野映画らしい寸劇、
全体を彩る北野ブルーに混ざり合う音楽が素晴らしいです。
久石譲さんの音楽は北野映画、ジブリ映画問わず、
不思議なほど心に響く。
一聴して久石さんの音楽と分かる個性があるのが素晴らしい。
ラヴェルのピアノ曲などを聞いていると、
影響元と思われるフレージングがあったりしますが、
まさしくエッセンスの抽出~コンパクト化の例と言えるかもしれません。
以上となります。
翻って自分を見てみると、私の楽曲はどれも長いです・・・
ループを重ねていくというスタイルですので、
どうしても長くなりがちなのですが、
改めて短い曲での表現を研究しております。
また、こうして映画オープニングを見ていると、
映像と絡み合うことによって、世界観がより分かりやすく、
明確になることの面白さを感じます。
映像とのコラボ、もしくは映像そのものにもいつか挑戦してみたいです。
さて、告知です。
7月20日(日)
URON ALPHA #9
京王堀之内timetokyo
w/
ANANAS
TECHNOCRACY
QUILL
THE EARTH TEMPLE
GRIND SHAFT
Communicates
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YOUNG FOREVER
don horror
open 12:50
start 13:10
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