2025年10月31日金曜日

オーストラリア バスキング遠征 その3

 

1018日(土)

 

5:30起床、坐禅。

6:30頃、起きてきた妻とともに

フラットホワイトを買いに外出。

今日も快晴だ。

 

前日同様、パンケーキとフラットホワイトで朝食。

身支度して早めにホテルを出ます。

 

電車でキングスクロスからタウンホールへ。

私は機材類をリュック、右肩にベース、右手に風呂敷に包んだ小型アンプ。

妻はイーゼル、画材を詰め込んだ特大リュックと手提げといういでたち。

最低限に絞っていますが、なかなかに重装備。

 

10時ころに市役所前に到着。

とりあえず、昨日と同じ場所でバスキングしてみることに。

 

昨日は一人でしたが、今日からは妻との共演。

横並びでセッティング。

 

土曜とはいえ、朝なので人通りはそんなに多くない。

チップのことを考えると、決していいシチュエーションではない。

その為か、他のバスカーさんは見当たらない。

 

チップのことが念頭に無いわけではないが、

やはり、気持ちいい朝の空気の中でバスキングしたい思いが勝ってしまう。

(この考え方はその後さらに加速し、チップは二の次みたいになってしまう・・・)

 

演奏開始。

妻も風景をインスピレーションにドローイング。

先述の通りお客さんは少ないが、それでも数人からお声かけいただいたり、

少しながらチップもいただく。

 

シドニーで活動する写真家の方からもお声がけいただき、

ありがたいことに動画を撮影いただく





※写真は撮影いただいた写真家さんののインスタ記事です。
画像にリンクを貼っておりますので、
インスタアカウントお持ちの方は、よろしけれご覧ください。


 

シドニーバスキングでは1か所でのパフォーマンスは
基本1時間というルールになっている。

なので、1時間でいったん引き上げることに。

 

次はどうしようかなどと二人で話しながら、

例の通り、作戦会議という名目でカフェへ。

またフラットホワイトをいただく。

 

市役所の近くにThe Galeriesという商業施設があり、

地下にカフェとフードコートがある。

そこを休憩、トイレ、食事スポットとして利用させてもらっていました。

 

このGaleries、日系企業が多く入っており、

無印良品、紀伊国屋などがある。

興味半分で無印をのぞきましたが、

やはり日本より高額。1.31.5倍くらいの印象。

 

どの店も昼過ぎくらいからは、結構な数のお客さんでにぎわう。

日本のデパートなんかと比べても活気があふれていて

この辺にも景気の違いを感じます。

 

 

さて、休憩を経て、第2ラウンド。

どこでやっていいものか迷った末、結局また市役所前。

今までやっていた場所から正門を挟んだ反対側でやることに。

 

演奏をしていると、おじさんに話しかけられる。

演奏中であり、また当然英語なので、
いまいち言っていることがわからないのですが、

後の経緯から考えると、どうやら土曜日はその場所で
クリスチャンの宣教活動がなされるようで、

おじさんはその設備を準備しに来た様子。

 

とはいえ、「どいてどいて」みたいな感じでもないので、
急いでどくべきなのか判断つかず、

そのまま演奏つづけていると、
どんどん周りに「主は見ている」的なのぼりがたったり、

終いには宣教のための音楽も流れ始め、
ようやくそこで意図を理解し、バスキング中止。

内心「この日本人、空気読めよ!」くらいに思っていたかな。
申し訳ない。

 

この時点で昼だったので先述のフードコートに戻り食事。

食事選びで重視せざるを得ないのは、
悲しいかな、金額です・・・

安価で好みのもの、そして英語で頼みやすそうなものを探す。

結局、どんぶり屋(?)みたいなお店で、
トーフボーイなるものをいただく。


 

玄米(5分づきかな?)にたっぷりの野菜、豆腐を乗せたタコライス的などんぶり。

結構おいしい。硬めの豆腐がいいかんじです。

こっちの豆腐はこういうものなのかな?

 

食事しながら、次のバスキング地を検討。

事前に調べたところによると、
タウンホールから歩いて10分くらいのところにある
Westfieldというショッピングモール、

歩いて20分くらいのダーリングハーバーなどにバスカーが多いらしい。

なので、偵察がてらその辺を散策し、
やれそうだったらバスキングしよう、ということに。

 

まずWestfieldに向かう。

ショッピングモールと聞いてましたが、

地上階は大きな歩行者天国を挟んで両側に店が立ち並ぶといった感じで、

その歩行者天国で数組のバスカーがパフォーマンスしていました。

 

ここのバスカーは機材がすごい。

大音量で打ち込み+エレキギター演奏していたり、

ドラムとギターのデュオバンド、ダンサー集団など。

ちょっとここでやる気にはならないな・・・というわけで素通り。

しかし、野外ライブ顔負けの音量を出していても咎めないどころか、

それを街の風景の一つと捉えちゃうってすごい。

文化、国民性の違いを強く感じます。

 

この時点で朝からのバスキング、機材をもっての歩き詰めで、

2人とも足が棒になっていましたが、
せっかくなのでダーリングハーバーにも行ってみることに。


とはいえ、歩き続けるには限界気味なので、

またフラットホワイトを一服。

いわゆるコーヒースタンド的な店で購入し、道のベンチで一休み。

本当にどの店もおいしい。
ちょっと飲みすぎですが。

 

休みながら、街ゆく人達を見るでもなく見る。

オーストラリア(シドニー)は老若男女問わずタトゥー率が高い。

おばあさんが若いころに入れたであろう、
鮮やかな黄色いお花のタトゥーを袖口からのぞかせていたりして、

実にかっこいい。


片手、片足にびっしり彫っている若者も散見する。
このバランスは流行なのかな。

中には和彫りの人なんかもいる。

外人さんの和彫りというミスマッチがかっこいい。

 

そういえば、前日の夕方はスーパーで全身びっしり彫り物で

タンクトップでマッチョな
ニューヨークハードコア風なおじさん(?)も見かけた。

でも、別に誰もそれを特殊なことなんて思っていない。

当然、白い目で見るとか排除するとかもない。

文化が違うのはもちろんのことなのだが、

同時に他人への尊重の仕方、在り方が日本とは違うのだな、と感じる。

 

 

さて、一服を経て、

ダーリングハーバーへ。

その名の通り、港に公園、商業施設、水族館などをまとめた地域。

ですが、家族連れなどでにぎわってはいるものの、バスカーは全然いない。

日中は日差しが強いから、夕方以降にでてくるのかも。

ネットで探してみた画像では薄暗い中、水族館前で
バスキングしているものもあったので、

そういうことなのだろう。

 

がんばって公園まで歩いてみた。

山下公園みたいな場所を想像していたのですが、

メリーゴーランド、遊具などのある遊園地的な場所でした。

ここもバスキングという感じではないかな。

 

こうして偵察を終わり、
もう足も限界なので、今日はここまでにすることに。

駅に戻る。シドニーは結構坂道が多い。

この帰路はかなりきつかった・・・

 

そんなこんなでホテルに戻り、

お互いに感想などを交換したり、明日の予定を検討しつつ、

スーパーで買ってきたカレーライスをいただく。

その名も「日本カレー」。

実においしい。

 

 

続く

2025年10月29日水曜日

オーストラリア バスキング遠征 その2

 

1017

 

630起床

 

今回の宿泊は全日素泊まりなので、

食事は自分たちで用意します。

起床後、ホテル近くのスーパーへ行き、朝食を購入。

スーパーの雰囲気も日本と異なるので、その辺も楽しみながらうろうろし、

できるだけ安価で食事になりそうなものを探す。

 

オーストラリアのお店はオープンが早い。

カフェは630からやっているところもあり、

スーパーも700にオープンする。

その分閉まるのも早いのだが、朝型の我々には都合がいい。

 

そして購入したのが袋入りのパンケーキと

コールスロー、ナッツ。


 

このパンケーキ、今回の遠征中、主食として何度も食べます。

安価でありながら、しっとりしていておいしい。

日本に戻ってからも食べたくなって調べたところ、
オーストラリアでソウルフード的な物らしく、

あぶってもうまいとのこと。うーんまた食べたい。

 

そしてスーパーを出てから、
ホテルの前にあるカフェ「ジプシーエスプレッソ」で

フラットホワイト(ラテ)を購入。

このお店、ホテルの所在を知ってからグーグルマップで存在を確認していて、

行ってみたいな、と思っていたお店。

 

シドニー(キングスクロス)はカフェが多く、

ホテル近辺にもジプシーさん以外にもたくさんのお店があるのですが、

なぜかここが気になってました。


飲んでみると、凄く好みの味。

結局今遠征中、毎朝ここのフラットホワイトをいただくことになる。

 

オーストラリア(シドニー)はコーヒーがおいしいと聞いていましたが、

確かにおいしい。

イタリア系の移住者によってエスプレッソが持ち込まれ、
それが主流になったそうで、

エスプレッソ、ラテがどのお店で飲んでもおいしい。

そんなわけでフラットホワイトとパンケーキで朝食を済ませ、

いざ、シドニー中心部へ。

いよいよバスキングに動き出します。


 

天気予報では午後から崩れるとのことなので、

午前中にできる限り動きたいところ。

 

シドニーでバスキングをするには、許可証が必要です。

逆に言うと、許可証があれば基本的にどこでバスキングしてもOK。

 

許可証は市役所で申請し、即日発行できます。

なので、タウンホール駅にある、市役所へ向かう。

市役所はこんな感じ。(写真はWEBからの拾いものです。)


 

実に古風で美しい。

で、中に入ろうとするのですが、正門は鍵がかかっている。

横に回り、そちらの扉を押すも、そこも開かない。

軽く途方に暮れながら、裏に回ると、連結して建てられた建屋があり、

どうやらここが市役所の様子。

 

中に入ると、日本の市役所と違い、

高級ホテルのフロントといった趣で、

カウンターの1~2人の所員がご対応なさっている。


先ほどの写真の建物は議会などで使用するらしく、

実務はこちらのみで行っているようです。

市役所としての業務内容が日本とは違うんでしょうね。

実にスタイリッシュ。


 

許可証を入手し、

私だけ先行でバスキングしてみることにしました。

金曜の昼間ということで、バスカーは少なく、
どこでやっていいものか検討が付かないのですが、

以前見たバスキング体験のYOUTUBEにて、
「市役所前でやってみた」みたいな文言があったので、

市役所前でやってみることに。

 

シドニー市内はそこら中にベンチが設置されていて、

待ちゆく人たちの憩いになっています。

妻はそういったベンチで見学、待機。

 

 

路上とはいえ、いよいよ初の海外演奏だ。


私は10代のころから、MTVやらなにやらで
海外演奏
に強いあこがれを持ってきました。


私がロックに目覚めた高校生の頃は、「海外進出」というと大変な偉業。

LOUDNESS、少年ナイフ、OUTRAGEZENIGEVASOB・・・

こういったバンド群は全く持って雲の上の人たちで、

大成功して大金持ちなんだろうなぁ・・
といったおかしな幻想を持っていたくらいです。

 

その後、自分もバンド活動を始め、

先輩、仲間たちが海外進出していきました。

ATOMIC FIRE BALLBORISCHURCH OF MISERYCOFFINS・・・

そしていつしかそれは特別なことでもなくなり、

自分も続けていればいつかそんな機会が来るだろうくらいに思っていました。

 

ele-phantをやっていたころ、比較的尖った音楽性であったこともあって、

改めて海外進出を妄想したことがある。

そんな折、COFFINSウチノさんとアースダムから
車で一緒に帰宅することがあり、

「俺も海外でやってみたいなぁ、どうしたらいんだろ。」くらいに軽い会話をした。

すると、いつもバカ話を交わす彼とは微妙に違うトーンで、

「それは、自分で動くしかないよ。」と言われ、
他力本願で舐めてた自分を恥じたことがある。

 

路上演奏とはいえ、50目前にしてようやく自分で動けました。

若いころはドカーンと大きな海外フェスに呼ばれる、
みたいな感じを夢見ていましたが、

まったく違って路上演奏。

こう書くとなんだかさみしい感じですが、本人的には全然そんなことはない。

というか、むしろ望ましいと思っている。

そもそも私の考える理想の音楽表現というのは・・・
いや、この話は長くなるので、ここまでにします。

 

 

そんなわけで、演奏にはそこそこの緊張が伴うかと想像していたのですが、

不思議なことに全然緊張しない。

よっぽど地元老人ホームへの慰問演奏の方が緊張する。

リラックスしながら1時間ほど演奏させていただく。

 


演奏していると、道行く人に話しかけられたり、

足を止めて聴いてくださったり、

チップをいただけたりする。

 

路上演奏はライブハウスなどでの演奏とは違う。

基本的にお客さんとして「聴きに来た」人はいない。

 

なので、演奏開始時は個であり、

普段の河原やスタジオでの練習と大差ない。

だが、ふと足を止めてくれた瞬間に
「聴き手(お客さん)」が発生し、
個+個になる。

その時、演奏の在り方みたいなものが変わる。

自覚的にも無自覚的にも。

そして個と個の間に「和」が生まれるのだ。

 

日本でも路上演奏経験はあるが

日本では残念ながらそうそう立ち止まってくれる人はいない。

だが、シドニーではバスキングという行為が浸透していることと、

オープンな国民性も手伝ってか、声までかけてくれる。

その声は「よかった」とか「いい曲」など、シンプルな感想。

それがぐっと心にしみる。
一言添えていただけることで「和」が完成する思いだ。

 

何とも抽象的な表現になってしまいましたが、

これはいままでに味わったことの無い体験であり、

久々に新たな気持ちで音楽やっててよかったと思えるくらい、

いい気持ちになれました。

 

 

初めてのバスキングを終え、午後からの天候悪化との予報を恐れて

早々とホテルに戻る。

帰り道、昼食としてそこそこ安価でおなか一杯になりそうな

バインミーを購入し、二人で公園で食事。

 

シドニー周辺はアジア料理(日本食も含む)が充実している。

お値段は日本より高めですが、

なじみのある味がいただけるのはありがたい。

 

ホテルに戻り、余韻に浸りつつ、

明日以降の動きを妻と話あう。

 

午後、天気が崩れるとの予報だったが、

強めの風が吹いた他は狐の嫁入りといった感じの天気雨。

拍子抜けしつつも、カラッと明るいオーストラリアの午後を満喫し、

朝買ったパンケーキの残りで夕飯とし、早めに就寝。

 

初日は一人でのパフォーマンスでしたが、

明日からはいよいよ「にじいろのめ」として

先日の「のうてんふぁいらⅤ」で行った

妻のフリードローイングと並ぶ形でバスキングです。

 

 

続く



2025年10月27日月曜日

オーストラリア バスキング遠征 その1

 

以前より書いておりました、

オーストラリアへのバスキング遠征ですが、

先々週~先週にかけ、無事完了いたしました。

 

今回から数回、
そんなオーストラリアバスキング日記を書かせていただきます。

 

 

1015

 

オーストラリア遠征日程は
16日(木)往路フライト、20日(月)復路フライトとなっているのですが、

私の家は山奥なので、当日の朝一移動では、

空港チェックインに間に合わない・・・

なので、15日から移動し、羽田近くの蒲田で前泊です。

 

昼頃に家を出て、地元駅の連泊可能な駐車場に車を置き、

そこから電車で蒲田へ。

 

荷物はリュック1個とスーツケース。
妻は特大のリュック1個とウェストバック。

お互い、最低限の荷物に抑えたつもりですが、

そこそこかさばる。

 

ベースは分解して、アンプと共にスーツケースに。

スーツケースはDODのコロコーロというものでして、

縦長なので、分解すれば小型のボルトオンネックベースなら入ります。

 

以前の記事では、今回のツアーに向けて

ホーナーのスタインバーガータイプを準備、調整した旨を書きましたが、

このベースはスルーネックなので分解できない。

 

そこで、できるだけ荷物をコンパクトにすべく、
新たにヘフナーのバイオリンベースを入手、調整しました。

渡航の1.5週間前に購入し、その後、フレットを外してフレットレス化したり、

トーン回路を外すなど、自分の中でのお決まりの改造を施し、

時間の許す限り、体にならせるべく弾きこみました。




 

このベース、かなり小型でありながら、

ネック幅は通常のベースと変わらず、違和感なく弾けます。

また、なぜかすごくサステインの長い楽器でして、

その辺も個性的で面白い。

 

ただ、ピックアップがハムなので、私には音が太すぎる。

また、ピックアップ位置がネックに近すぎるので、

ハーモニクスも鳴りにくい。

出発当日までピックアップの交換を悩みましたが、

時間が足りなく断念。

 

さて、そんなわけで、蒲田に16時頃到着し、

ビジネスホテルで一泊。

 

翌朝が早いので、早めに床に就いたのですが、

私も妻も、明日以降のことが頭をめぐって眠れない。

23時ころ、軽くホテルの周りを散歩に出る。

 

地元でも、眠れない夜は軽く散歩に出たりするのですが、

真っ暗で当然人っ子一人いない。

ですが、さすが都会。23時なのに人が多い。

そして営業している店も多い。

まぁ、私も7年くらい前まではそういう環境で暮らしていたのですが、

なんだか、不思議な気持ちを抱えつつも、都会の便利を享受し、

軽食などつまみ、薄い眠りにつく。

 

 

1016

 

5時起床、すぐにホテルを出て羽田へ向かいます。

 

最後に海外へ行ったのは昨年末の中国での仕事。

1年ぶりの羽田。

当たり前ですが、仕事で来るのとはワクワクが全然違う。

 

早く着きすぎてしまい、少し待機後、チェックイン受付へ。

妻は学生時代以来の海外とのことで、

ほのかな緊張が伝わってくる。

 

無事荷物預け、検査を経てチェックイン。

後はフライトを待つのみ。

空港の高級スタバなど飲みながら待つ。

 

そしてフライト。

オーストラリアまでは約8時間のフライト。

普段、仕事で中国、韓国に行くことはありますが、

たいてい23時間のフライトなので、

こんなに長いのは初。

 

映画見たり、本読んだり、仮眠したり、

時間をつぶすのはさほど苦は無かったのですが、

3人掛けの真ん中だったので、トイレに行きにくいのは閉口しました。

機内食で久々にアイスなんか食べたもんだから、

おならを抑えるのに苦慮。

まぁ、抑えずに日本人の恐ろしさを機内に知らしめるのも一興ですが。

 

そんなこんなでシドニー国際空港到着。

時差もあるので、現地時間は20時。

着陸時、街の明かりが見えてきたときは、
いよいよ来たんだなぁと胸が熱くなる。

 

入国審査で楽器を咎められないかと心配していましたが、

問題なくスルー。

妻は頭痛薬などを持ち込む必要があったので、

英語の説明書きなども準備していましたが、

こちらもあっさりスルー。

よかったよかった。

 

そして空港を出る。

当たり前ですが、周りは外国人ばかり。

オーストラリアは白人圏という認識でしたが、
本当にいろいろな人種がいる。

不思議な気持ちになります。

海外に行くと常々、日本人であることを再認識させられる。

そして、それを誇りと思えるように行動しようと背筋が伸びる。

 

空港から電車で宿泊先へ移動。

電車はクレジットカードでタッチ改札可能。

すごく便利です。日本もこれを導入してくれるとありがたいんですが、

どうせいろんな利権なんかが絡んで簡単にはいかないんだろうな。

電車に限らず、今回の遠征中、

買い物はすべてクレジットカードのタッチ決済でした。

 

セントラルステーション駅で乗り換え、

宿泊先のキングスクロスへ。





駅を出ると、酔っ払い、路上喫煙、タトゥーびっしりマンなどが目につき、

道の向こうでおじさんが「ファックオフ!」と大声で誰かにどなっている。

道にゴミも多く、タバコ屋、タトゥー屋、風俗店らしき店も目立つ。

 

清潔安全なシドニーをイメージしていたので、

驚かされましたたが、調べてみると、

キングスクロスはかつて南半球一の歓楽街だったらしく、

いまでも怖い事件などが起きたりするらしい。

夜はあまり出歩かないほうがいいとのこと。

怖い怖い。

 

解放感とほのかな緊張をいだきつつ、ホテルへ15分程度歩く。

街中の建物はヨーロッパ風のものが多く、美しい。

 

森有正さんの本で、パリには名所が多いということを書いてあったのを思い出す。

日本の「名所」は「名所」として整えたものが多いが、

パリはもともとある街並みが残っていったことで「名所」となっているので、

日本の「名所」とは意味合いが異なる、といった内容だったと思う。

 

キングスクロス(シドニー)も同じかもしれない。

もちろん近代的な建物もあるが、古くからのものも大事に残されていて、

調和している。その様子がとにかく美しく、うらやましい。

 

戦火、震災などの有った東京では同じことはできないのは百も承知だが、

もう少し、残す努力はあってもよかったのかもしれない。

そんなことを思う。

 

 

途中、コンビニで軽食、水を買う。

物価が高いので、抑えての購入。

日本は貧乏になったのだな、と再認識。

あながちそれが悪いことばかりとは思っていませんが。

 

そして21時過ぎにホテル着。

今回の遠征は、私の退職記念でもあり、

初の夫婦海外遠征でもあるので、

少し奮発してHISでツアーを組みました。

(と言っても、航空券とホテル予約のみをお願いする形で、
結果的にかなり安価な旅になりましたが・・・)

 

なので、ホテル選定はお任せだったのですが、

先述の文章にかぶるような、古風で素晴らしいホテルでした。

 

今時のシティーホテルなどに比べると、

調度品は古いし、建屋、壁も古さを感じるのですが、

我々にはむしろうれしい。

木製の階段手摺、陶器の風呂おけ、固定式のシャワーなど、

管内をうろうろするだけでも歴史と異国感が味わえる。

 

部屋で楽器の状態などを確認しつつ、組み立て。

ちょっとゴルゴ気分。

 

そして、就寝。

 

翌日からはいよいよバスキングとなりますが、

天気予報によると、午後から雨らしい。

午前早い時間から動き出そうと、計画し、早く寝ようとするが、

やはり興奮して寝付き悪し・・・

 

 

次回へ続きます。

 

 

 

 

2025年10月2日木曜日

くそバイクに学ぶ

 

ちょっと前の酷暑とうってかわり、

最近は朝晩寒いくらいになってきた。

 

こういう季節になると、私の家の周りは騒がしくなる。

我が家は山間部にあり、すぐ近くに峠道もあったりするので、

ツーリング、ドライブの連中が増えてくるのだ。

 

それはもちろん一向にかまわないのだが、

なぜか大きなエンジン音を出したがる連中がいる。

大きくふかしてみたり、
バックファイヤみたいな音を出してイキり去るのもいる。

普通に走りゃいいのに。

周りに迷惑をかけるくらいしか表現手段がないのだろう。

 

以前住んでいたところほどではないものの、

土日の朝ともなると結構なやかましさ。

山なのでやまびこ効果で響くのだ。

 

まぁ、信号もなく、交通量も少なく、

自然に囲まれている。

そんな中を走っていたら、飛ばしたくもなるのかもしれない。

 

おそらく、普段の自分を忘れることの快感がそこにあるのだろう。

バイク乗りの大半はコスプレしている。

アメリカンバイカーごっこ、暴走族ごっこ、

各種ロゴの入った、ガンダム顔負け配色のツナギを来てレーサーごっことか。

 

このコスプレも「普段の自分を忘れる」一環なのだろう。

くそみたいな普段の生活を爆音爆走で忘れるぜ、みたいな。

結果、人間的にはさらにくそ堕ちしているのだが。

 

 

さて、この「自分を忘れる」という行為ですが、

以前から私も取りつかれている言葉でして、

忘我の快感というものについて考えたりする。

 

例えば、映画を見たり、小説を読んだりして
その世界に入り込み、自分を忘れる。

 

ふと、その世界に飽きを感じたりすると、日常を思い出したりする。

この忘我率みたいなものの高さが映画の評価に
つながったりする面もあるように思う。

だからこそ、ハリウッド映画のように大スペクタクルで

常に事件、アクション、ショッキングな場面が続く映画が
「面白い」とされたりするのだろう。

 

 

人は自分の行為を認識するとともに、

その認識者を認識する癖(能力)がある。

メタ認識なんて言われたりもしますが、

自分を自分が見ているという状態だ。

 

自分を自分で見て、
自分の思う自分と異なることを目の当たりにする。

これはつらい。

メタ認識は必要だが、たまにはそこから離れたい。

だからこそ忘我は快感なのだろう。

 

 

私は坐禅を日課にしていますが、

坐禅中は頭の中に沸き起こる妄想、雑念を認識するとともに振り払う。

この「振り払う」行為をどうやって行うかというと、

自身の姿勢、体、呼吸に目を向ける。

呼吸の出入りを確認しつつ、自分の体を上から下までスキャンしていく。

そうすると、意識は頭の中から体へと移行し、いったん雑念は離れていく。

 

それでも、「怒り」「いらだち」など、離れにくい想念はある。

ネガティブな想念ほど、心に絡みつく。

その場合はその想念自体を改めて見つめてみる。

怒っている自分、いら立っている自分を見つめ、
なぜそんな風に思うのかと考える。

段々と普段からそういった癖がついてきて、
冷静な自分でいられる(気がする)。

 

要はメタ認識を捨ててみて

ダメなときはメタ認識をみつめてみる。

そんなことをしているわけだ。

 

人である以上、メタ認識を完全に捨てることはできない。

 

動物はメタ認識を行わない(と思われる)。

メタ認識こそが人を人たらしめ、同時に転落させるものなのだろう。

マタイの福音書によると「天国に入るには幼子に戻るしかない」という。

幼子はメタ認識力が低いゆえに
天国入りできるということなのかもしれない。

そうじゃない我々は煉獄に居残るか地獄に落ちるしかない。

 

でも、私は動物でも幼子でもないし、なれるものではない。

人としてメタ認識とうまく付き合っていくしかない。

 

 

楽器を演奏するとき、私は「忘我」状態であろうとしてきた。

メタ認識を捨てた、無心に近い状態。

西田哲学でいうところの純粋経験状態での演奏が理想と思ってきた。

 

坐禅を重ねる中で少し変わってきた。

メタ認識を排除した「忘我」ではなく、

メタ認識と共存した「忘我」、そんな境地があるのではないか。

 

坐禅にヒントがあるのかもしれない。

いったん没入を求め演奏し、

雑念が紛れてきたときには
自分の音、演奏姿勢、楽器の手触りなどを実感してみる。

それでも紛れ込んでくる雑念にはいっそ乗っかってみる。

 

先日の記事で自信の演奏に酔ってみるということを書きましたが、

これなどは私なりに雑念に乗っかる行為の一つだったりする。

 

 

早朝、坐禅をしていると騒音バイクが聞こえてきた。

うーむ。邪魔くさい。

 

でも、大したものではないかもしれないが、

騒音バイクのおかげでの「気づき」というのもあるかな。

 

・・・不本意だが、ありがとうございます。