2019年5月19日日曜日

ブログ再開


 森有正さんが変貌と呼ぶ現象がある。
我々は眼に見えない、気に止まらないような体験の積み重ねを繰り返し、
経験を経て、変貌していく。 
例えば苗木は数時間、数日見ているなかでは
ほとんど変化を感じない。
だが、1年、10年経ったとき、それはすでに木になっており、
巨木に変貌する。
経験というのはこういうものであり、
文字を見ただけ、話しを聞いただけでその気になれるようなもの、
わかった気になるようなものは体験であり、経験ではないという。
いわゆる技能習得のようなものもそれだろう。
全ては瞬間の体験でつかんだ知識やコツよりも
積み重ねていく目に見えないレベルのものが「経験」であり、
巨木変貌への本質であるように思う。
 
森有正さんの変貌についての言葉の中で、
2ヶ月前に書いたものを読んだときにそれを超えている自分に気付くと書いている。
 
考えやそれを書きとめたものと今の自分が乖離いていくというのは
朝令暮改的なあやふやさ、いい加減さを感じてしまうが、
その間に自分が成熟し、経験全体が変容しているゆえの変貌として
ある種、前向きに捉えている様に感じた。

自分のごときものは常に考えが揺れ動く。
そして言葉もその意味も変わっていく。
それがいやで考えを書き留めるのを辞めたのだが
それは経験の変容であり、変貌であり、成熟ともいえるのかもしれない。
そんなことを考え、またこんな感じのことを書き始めることにしました。

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