2019年7月25日木曜日

必殺53歳

夏の楽しみといえば、
新日本プロレスのG1クライマックスだ。

新日本の最前線の選手たちのシングルマッチのリーグ戦。
普段見られないような組み合わせから
名勝負数え歌のような定番まで
それらが連日繰り広げられる。

今年も一喜一憂しながら見ている。
応援している選手もたくさんいるが
今年は気になってしまうのが棚橋だ。

ここ数年、棚橋の動きは明らかに悪くなってしまった。
ひざの故障で軽快に走ることが出来ない様子で、
ロープに走るときもドタドタという印象。
膝に負担のかかる必殺技の
ハイフライフロー(コーナートップからのボディプレス)も
最近は封印していた。

だが、今回のG1ではハイフライフローも解禁して、名勝負を繰り広げている。
その姿に映画「レスラー」のような決死を感じてしまい、
胸が熱くなる。

プロレスラーは40代になるにつれて最前線を退いていく傾向がある。
どうしても体が動かなくなったり、故障を抱えることで、
旧来の動きが出来なくなるからだ。

棚橋が若手だった時代は
40代以降であったり、故障を抱えていても
最前線にいる選手が多かった。

天龍は50代目前でIWGPを巻いたし、
蝶野は満足にリングから降りられないほどの膝故障でも
ドームのメインを戦った。

もちろんこれらの選手の「見せ方」が抜群に上手いというのが大きいが、
時代も変わったのだと思う。

総合格闘技ブーム~プロレス最強神話の崩壊~
プロレスがエンターテイメントであるということのカミングアウト~
アスリートプロレスの流行・・・
これらの流れの中で、体が衰えているにもかかわらず
チャンピオンという構図が成立しにくくなってきたのだと思う。
嫌な言い方をすると、ごまかしがききにくくなってきた。


天龍に53歳という必殺技がある。
これは相手を抱え挙げて頭から落とす、
いわゆる垂直落下式ブレーンバスターの類いの技で、
名前の通り、天龍が53歳のときに開発した技だ。
天龍の「53歳」は決してきれいではなく、
ぐちゃっと崩れるように倒れこむ。

この技で天龍は勝利を連発するが、
今の目で見ると、説得力は少なく、汚く見えてしまう。
でも当時は崩れるがゆえに相手に思いもよらないダメージを与えるのではないか、など、
幻想とともに好意的に見ていた。

情報は幻想を壊し、目線を変えてしまう。
そして楽しみ方も変えてしまったのかもしれない。

今のプロレスも好きだけど、
年齢制限が明確になっていっているのは寂しい気がする。
まだまだ棚橋、真壁や、その上の第3世代の活躍も見たい。

青春時代に見ていた選手たちや同世代の選手たち。
そんな彼らがまた大躍進するような場面をもう一度見てみたい。

それは青春時代のリバイバルを想起させてくれて、
自分の気持ちにも新たな火がともされる気がするのだ。
身勝手な話ではあるが、
こういう気持ちもプロレスの人気を支えているのだと思う。

棚橋、がんばって!

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さて告知です。

来週はNILOMETERとABNORMALSが連日です。


NILOMETERはこちら。

7/31@阿佐ヶ谷 天
インストイズム #01

出演:
NILOMETER、solresolla、空間猫

開場:19時
開演:19時半
入場:¥1,000+1drink


ABNORMALSはこちら。


どちらもよろしくお願いします。


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