4年ほど前、手持ちのベースをフレットレス化しました。
目的は「12音階からの離脱」と
偉そうなことが当時の記事に書いてあります。
半音以下の音程である“微分音”の研究、
というか遊びはその後も続けており、
最近、ちょっと面白い使い方に気づきました。
今回はそんな発見の話です。
その前に、微分音の簡単な説明をさせていただきます。
ドレミファソラシドは7個の音
(最後のドを入れると8音)で構成されていますが、
西洋音楽ではさらに12個の音に分解されます。
ピアノの白鍵だけを弾くと、ドレミファソラシド、
つまりメジャースケール(イオニアンスケール)が弾けますが、
ピアノには白鍵だけでなく、黒鍵も存在します。
黒鍵は白鍵と白鍵の間に挟まっており、半音ずれた音となります。
ドからシまで白鍵が7個、黒鍵が5個、合計12音ということになる。
つまり、ドレミファソラシ(ド)は12個の音に分解できる。
基本的に西洋音楽はこの“半音音程”に則っており、
一般的な楽譜はこの半音までの構成で書かれています。
(後述する現代音楽では微分音を含む超難解な楽譜も存在します。)
だが、音は半音以下にも分けることができます。
というか無限に分けることができます。
ピアノやフレッテッドの楽器では特殊な奏法を使わないと、
こうした半音以下の分割音程は発音できないですが、
フレットレス楽器や管楽器では分割が可能です。
この半音以下の音程が“微分音”でして、
4分音、6分音などと呼ばれたりします。
微分音は民族音楽(邦楽を含む)では普通に使われますし、
西洋音楽でも現代音楽では
積極的に“微分音”を使っている曲が存在しますが、
いわゆるポピュラー音楽ではあまり使われない。
というのも、この微分音、曲の中に組み込みにくいのだ。
どうしても不安定な響きになってしまうので、
必要以上に不気味になってしまったり、
単純に下手な演奏に聴こえてしまうことになりがち。
そんなわけで、リード演奏などでは
例えばギターソロのチョーキングなどで導入されるが、
アンサンブルの中に入れようとすると”異物“になりやすく、
敬遠されてしまうのだ。
前置きが長くなりましたが、
そんな微分音を自分なりに使うことができないものかと考え続けておりました。
(そんなに大仰に言うほどでもないんですが。)
そして、最近見つけたのが下記となります。
2音コードの中で一番安定していると言われるのが5度コードです。
パワーコードなんて言われたりもします。
メタルなどで、ひずませてブリッジミュートでゴンゴン弾く時は
5度コードが大半かと思います。
重さが強調されるこの奏法ですが、
これに微分音を混ぜるとさらに重みが演出されることに気づきました。
例として、MELVINSのJOAN OF ARKを通常の5度コードと
5度の音を4部音落とした、言うなれば4.75度コードで弾いてみます。
まずは5度です。
「こちら」に音源がリンクしていますので、お聴きください。
(DROPBOXへのリンクですので安全です。念のため。)
ベースでのクリーントーン演奏なので原曲と雰囲気は違いますが、
まぁ、基準としてお聴きください。
次に4.75度。
「こちら」にて聴いてみてください。
どうでしょうか。
微妙ではありますが、少し重みが増したように感じませんか?
なんかすっきりしない違和感があり、それが濁り、重みを感じさせます。
ちょっと分析してみます。
5度コードというのは、先述の通り、安定したコードでして、
ルート音に対し整数次倍音にあたる5度の音でコードが構成され、
含まれる倍音も(基本的に)整数次倍音がならびます。
それに対し、4.75度の音は非整数次コードとなっており、
そこに含まれる倍音群もやはりルートの音に対し、
非整数次の倍音となってきます。
それらが、ある種の異物として、
重く、うるさく感じさせるではないかと思います。
中村明一さんの「倍音」という本
(すごく面白いおすすめの名著です。)によりますと、
人間の声は倍音の含み方にが個性があるそうです。
男性歌手で言うと、
整数倍音を多く含むのは郷ひろみ、氷川きよし
非整数倍音を多く含むのは森進一、桑田佳祐
女性歌手だと、
整数倍音が美空ひばり、浜崎あゆみ
非整数倍音が八代亜紀、宇多田ヒカル
整数の方はどちらかというと美しくパーンとはじけるように響き、
非整数の方は濁って重い。
そのおかげで心に引っ掛かりやすく、感情的でもある。
ちなみにタモリは整数次倍音、浜ちゃんは非整数次倍音です。
落ち着きを感じさせるタモリの司会と、
「けっかはっぴょ~!」に感じるような注意喚起力を持つ
浜ちゃんの司会、
その違いの秘密が倍音にあったりするわけです。
今回の4.75度コードの響きも、
濁りが重さを演出してくれているのではないかと思います。
ちなみに、微分音を混ぜてコードを重くする方法は
5度以外ではここまで効果が出ません。
(この辺、主観なので微妙なところではありますが。)
というのも、先述のとおり5度は安定度が高いので、
4.75度を弾いても、錯覚的に5度に寄せて聴いてしまいます。
つまり「濁った5度」に聴かせることができる。
ですが、他のコードですと、
”無意識に寄せて聴く“まで行きにくいので、
単純に音痴なコードとして聴こえがちなのだと思います。
以上です。
まぁ、主観に基づく発見ですので、
万人に伝わるかどうかは自信がないですが、
微分音を音楽的に使う手法として、
自分なりに、少しヒントをつかんだように感じています。
現在、この4.75度コードを自曲に生かすことができないかと模索しております。
次回ライブまでに間に合うかな・・
さて、そんな次回ライブはこちらです。
にじいろのめ 企画
“のうてんふぁいらⅡ”
11月2日(土)
演奏:
展示、物販:
開場:12:00
開演:12:30
料金:2000円(おやつ付き)
※完全予約制です。
予約はこちらまでどうぞ。
sleepsleepgotosleep@gmail.com
斉藤新
ドリンク持ち込み自由です。
というか会場でのドリンク提供ありませんので、
好きなもの好きなだけを持ちこんでください。
ただし、ごみはお持ち帰りをお願いいたします。
お土産として、
現在作成中の斉藤新2ndアルバムから、
3曲入りのデモCDRを差し上げます。
(受け取ってくださいませ!)
ご予約、お待ちしております!!