夏ころ、勢いで手持ちのベースを1本フレットレスに改造した。
私は2本しかベースを持っていません。
そのうちの1本を改造したのだから、
我ながらなかなかの勢いだ。
ニッパーでフレットを引っこ抜き、
隙間をパテで埋め、指板を削って平面にする。
フレットレス化は若いころにもやったことがあったので、
素人改造ながら、何とか弾けるレベルには仕上がった。
フレットレス化の目的は12音階からの離脱実験、自由化でした。
今の私のスタイルはソロ演奏なので、
離脱したところで協奏のルールを乱すものでもない。
そこでいっそフレットを抜いてしまった次第。
フレットレスであれば12音階以外の音を選ぶことができる。
例えば5度コードを弾くときに
ルート+「5度よりちょっと下」の音を重ねることで、
聴いたことの無い不安定なコードが鳴るのではないかと期待した。
だが、残念ながら、狙い通りにはいかない。
それはぼやけた5度コードでしかなく、
単純に美しくない響き。
それはそれで面白くもあるが
これを生かす方法が思いつかない。
コードに限らず、スケール、アルペジオすべてにおいて同じ感じで、
「離脱遊び」をしてみても、解像度の低い音階にしか聞こえず、
結局、12音階に乗るように弾くことになる。
※ただ、メロディーを弾く際にはその限りではなく、
不思議なメロディーが得られそうな気がするのだが、
曲としてまとめるにはメロディーだけでは構築が難しい。
これは多分に自分の実力不足があるんだろうとも思う。
フレットが無いことで12音階を超えた世界を描くという術は
きっと存在するはずだと信じているが
まだ私にはできない。
そんな折、現代思想誌の鈴木大拙特集を読んでいて
「ひじ、外に曲がらず」という言葉に出会った。
禅思想を西洋に伝えた鈴木大拙はこの言葉によって
新たな境地に達したという。
ひじは外には曲がらない。
これは制限や不自由ではなく、必然であり、
その中にも十分に自由がある。
必ずしも「自由度=自由」ではない。
捉え方次第で「制限=自由」でもありえる。
上述のフレットレスでの自由度模索経緯と
この言葉を重ねるには大仰な気もするが、
フレッテッドだからって自由が得られないわけではない。
こっちの道もまだまだ遠くて深い。
フレットレスは今後も研究を続けます。
いつか自分なりのフレットレスの在り方が見つかるのを期待して。
もう抜いちゃったし・・・
ただ、改めてフレッテッドの可能性を考えるいい機会にもなりました。
仕掛け人ユリアキ君の企画です。
まだ大出を振ってライブにお誘いしにくい状況ではありますが、
NILOMETER、来年一発目にして久々のライブハウス出演。
ご検討、よろしくお願いします。
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