2021年8月26日木曜日

DITTO LOOPERとBOSS RC1

 

今日はエフェクターの話。

 

今、私が作っている音楽スタイルの中で、

一番重要なエフェクターはルーパーとなります。

 

以前はルーパーのほかにも

各種FUZZやピッチシフターなどを使って、

いろいろなトーンの音を重ね合わせる音楽を作っていましたが、

今はそれらも排し、ピッキングの仕方、位置などでトーンを操作し、

足元はルーパーのみとなっております。

 

ルーパーは各社から出ているのですが、

有名なところだと、

BOSSRCシリーズ(LOOP STATIONシリーズ)、

TC ELECTRONICSDITTO LOOPERシリーズあたりが挙げられるかと思います。


左がDITTO LOOPER、右がRC1


私もこの2種を所有しており、

試す機会が多いので、その比較でも書いてみたいと思います。

 

 

操作性は大差無いですが、大きく異なるのが、

TRUE BYPASSか否かです。

DITTO LOOPERTRUE BYPASS(トゥルーバイパス)

RC1BUFFERED BYPASS(バッファードバイパス)となります。

 

TRUE BYPASSとは、

エフェクターのスイッチがオフになっているときに、

エフェクターの回路を通らずに信号がインプット→アウトプットに流れる仕様のことです。

その為、スイッチを入れていないときに、

エフェクター回路による音質変化を被らないという利点があります。

 

対してBUFFERED BYPASSはスイッチオフ時にも、

エフェクター内のBUFFER回路を通ることになり、

微細な音質変化が起きてしまいます。

実際、DITTO LOOPERRC1でバイパス時の音を比べると、

RCの方が若干高音域が削られてしまう印象があります。

 

BOSS製品は大半がBUFFERED BYPASSを採用しています。

そのため音質変化が嫌でBOSS製品を嫌がる方も結構います。

 

 

私が若いころはあまりTRUE BYPASSという言葉を聞いた覚えがないのですが、

ここ10年くらいでしょうか、よく聞くようになりました。

それは上記のような「バイパス時に音質変化が少ない」という点での流行かと思います。

 

こう聞くとTRUE BYPASSの方が理想的に見えてきますが、

そうとも限りません。

 

TRUE BYPASSのエフェクターは、

スイッチを入れる際に音量の変化が起きます。

(もしくは起きることが多いです。)

 

ひずみ系など音質変化をともなうものであれば、

ボリューム調節次第で何とでもなるのですが、

例えばディレイなどだと、踏んだ瞬間に音量が上がってしまうので、

ちょっとこのままでは使えません。

なので、そういうときはBUFFER回路を持つエフェクターを交えて使う必要があります。


 

エレキギター、ベースから出てくる電気信号は

ハイインピーダンスという状態になっており、

外部のノイズ影響を受けやすい信号形態です。

これをBUFFER回路に通すとローインピーダンスという信号形態に変化し、

ノイズ影響を受けにくくなります。


ハイインピーダンス信号を一度BUFFER回路に通して

ローインピーダンス信号に変えてからであれば、

TRUE BYPASSのエフェクターでの音量変化現象はなくなります。


TRUE BYPASSのエフェクターに入ってくる信号がハイインピーダンスだと、

スイッチをオンにした瞬間に内部でローインピーダンスに変化し、

回路内で音量が調整されてしまうのです。(もしくは調整しやすくなります。)

結果、回路の性格によって

踏んだ瞬間に音量が変わってしまうのです。

 

DITTO LOOPERも同様でして、

BUFFERを通さず、LOOPERのみで使用しようとすると、

踏んだ瞬間に音量が変わってしまいます。

結局、BUFFERとの併用が必要になってきます。

 

RC1と違って、BUFFERを別で準備することになるので、

自分の好みにあったBUFFERを選べるという点ではメリットではありますが、

1台余分にエフェクターを並べる必要があるというのは

デメリットかもしれません。

 

 

さらに、一番の問題点としまして、

DITTO LOOPERはルーパー回路がオン、オフになるタイミングで

「プツッ」というノイズが入ります。

ノイズ自体は小さいのですが、曲の中のどこで鳴るか次第では

結構気になります。

 

持続音(E-BOWなど)で演奏しているときに、

スイッチをオンにすると、「プツッ」が結構目立ちます。

また、ループ演奏を終える際、

そのままスイッチを長押しして、ループを消去しようとすると、

ループが止まって、数秒後、ループデータ消去完了の際にも「プツッ」が出ます。

 

BUFFERED BYPASSRC1はそういうことはありません。

ただし、上述の通り、BUFFERによる音質変化が発生します。

一長一短です。

 

持続音の中でスイッチオンをしない、

曲の中でループデータを消去することがないのであれば、

音質変化の少ないDITTO LOOPERの方が有利です。

ですが、そうでないならばRCシリーズの方が有利です。

 

ちなみにDITTOシリーズは上位機種であれば、

BUFFERの有無を選べるようです。

そちらで「プツッ」ノイズが入るのか否かは未確認です。すみません。

 

 

LOOPERから話がずれますが、

昨今のTRUE BYPASSブームには少し疑問も感じます。

なんか、盲目的にTRUE BYPASSが選定されている場面が多いように思います。

それよりも、音質変化の少ない、

もしくは音楽的に違和感のないBUFFER回路を開発するほうに

もう少し力を入れていただきたいものです。

 

今回、「プツッ」ノイズを指摘させていただいた

DITTO LOOPERの販売元TC ELECTRICSですが、

実はその辺、企業努力をなさっています。

昨年発表されたFLASHBACK2MINIHOF2MINIなどは

小型エフェクターながら、BUFFERの有無を選定できる仕様になっています。

 


DITTO LOOPERは小型で軽く、

デザインもかっこいい。

いつかBUFFER有無が選べる仕様になって、

「プツッ」が解消されると嬉しいです。

TC ELECTRONICSさん、よろしくお願いします。

 

 

 

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