2020年2月2日日曜日

プラトンのクリトン


プラトンという古代ギリシャの哲学者がいる。
自身の先生にあたるソクラテスを主人公に、
ソクラテスの、ひいては自身の思想を多数の作品で著わしています。

その書式は「対話編」といわれ、
主にソクラテスと登場人物との対話の形で描かれる。

論法はいわゆる演繹法といわれるもので、
A=Bを証明するに当たり、
A,Bと同じ特徴を持つCを持ち出し、
A=Cであることを納得させるとともに、B=Cであることを説明。
これによりA=C=Bであること、
ひいてはA=Bであることを納得させるという論法。

この論法、結構嫌味っぽい。
話しに乗っているうちに、
ソクラテスの意見に同意せざるを得ない状況にされてしまうのだ。
実際、登場する反論者は露骨にイライラしたり
投げやりになったりする場面もある。

そんなプラトンの作品の中で、
私が一番好きなのは「クリトン」という作品。

ソクラテスは若者を邪教に導くという罪で告訴され、
有名な「ソクラテスの弁明」という作品の中で自身の弁明を行うものの、
市民投票の末、僅差ではあったものの死刑を宣告される。
こんなことでアテナイ随一といわれる哲人が死刑になることに驚かされるが、
上記の嫌味に当てられた街の有力者から訴えられた形だ。

「クリトン」では刑の執行を待つソクラテスのもとに赴いた、
弟子のクリトンが脱走を促すが、
それに対してのソクラテスの思想が語られる。

そもそも死刑レベルの話しではないこと、
脱走しても受け入れてくれる隣国があること、
その準備が出来ていることなどを理由に脱走を促すのだが、
ソクラテスは受け入れない。

その理由を要約すると、
自分はアテナイに生まれ、そこに生きてきた。
国を出ようと思えば、出る機会もあったがそうせず、
この国で生活し、その国法を遵守してきた。
経緯はどうあれ、その国法が決定した死刑であれば、
当然受けなくてはいけない。
それを受け入れないことは今までの自分とこの国を否定することになる。

この言葉にクリトンは何も言い返せずに
ソクラテスの救出をあきらめることになる。

ソクラテスの強さ、凛とした姿勢、国への愛に打たれる。


私は日本に生まれて、
日本人であることに誇りを持って生きてきた。
だが、嫌な話も多い。
ことに最近多い気がする。

外交、経済、原発、基地問題、社会保障などなど、
いろいろな考えがあるとは思うが、
その裏に常に見え隠れする嘘、隠蔽、ルール違反が本当に不快だ。

先日、選挙法違反が発覚した前経産大臣は私と同郷の人間だ。
中学校の先輩に当たり、彼を教えた理科の先生に私も教わった。
優しくて好きな先生だった。

そんな先生が、駅前で演説する
まだまだ駆け出しだった前大臣を見かけたところ、
彼の方から先生に声をかけてくれたと喜んでいたのを覚えている。
先生にとって自慢の教え子の一人だったのだろう。
すごくうれしそうだった。

思想や政策、外交方向性は多様な考えがあって当然だ。
だからこそ政治があり、政治家は国民の代表として話し合う。
その場において、嘘をつかない、規則を守るっていうのは大前提ではないのか。
そんなこともできないのに政治家を志したのか。
それとも政治家になってから転げ落ちたのか。

意見を押し通すために嘘で固めたり、
事実を隠したりなんていうのは
政治家の前に人として外道だ。

決定を誤ることも、上手く行かないこともあるだろう。
それはそれで仕方ない。
それでも我々が選んだ代表の間違いなのだから、
と納得できる国、国政であって欲しい。
私の愛する日本はソクラテスにも胸を張れる国家であってほしいものだ。


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さて、いよいよ来週になります。

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