2022年10月17日月曜日

チルギルチンと山猫音楽会を見に行った話。

 

先週金曜、

トゥバ共和国から来たチルギルチンというグループの

ライブを見に行ってきました。

 


トゥバと言っても全然なじみが無いかと思います。

モンゴルの北西に位置するロシア連邦の中の小国です。

 

チルギルチンはトゥバの有名な4人組バンドで、

ホーミー(ホーメイ)を多用するトゥバの伝統音楽を演奏します。

 

以前の記事でモンゴル音楽への興味について書かせていただきましたが、

今回、妻がSNSからライブ情報を知り、喜び勇んで

二人で見に行ってきた次第。

 

会場は所沢のMOJOというライブカフェバー。

少し面白いつくりのお店で、

狭い空間を広く使って店内がレイアウトされており、

バーカウンターとステージが横に広くて開放的な印象。


ドリンクや料理も各種あり、

いずれも適当な有り合わせじゃない感じに好感を持ちました。

オープンマイクもやっているそうなので、いつか参加させていただきたい。

 


さて、チルギルチン。

まず、ホーメイのすごさにぶっ飛びます。

人はこんなことまでできるのか、と単純に驚く。

 

そして曲も素晴らしい。

基本的に23本程度の弦が張られたギター、バンジョー大の弦楽器を

弓、爪で弾きながら、曲によっては打楽器を交え、

そこに歌唱が乗る。

ホーメイに限らず、力強い歌唱が心を打ちます。

 

打楽器は非常にシンプル。

カウベル状のものや、鈴、カスタネット状のものを鳴らす。

カスタネット状の楽器は馬の蹄を加工したものらしい。

 

緩やかでスケールの大きい音楽。

聞いていると行ったことも見たことも無いのにトゥバの風景が浮かぶ。

音楽って本当にすごい。

 

先述の通り、彼らはロシア国籍だ。

彼らのあずかり知らぬところで、彼らの国は大変なことになっており、

今回のツアーでも国境封鎖にて出国できない可能性があったそうだ。

ツアー後に帰っても国に入れるのかどうかといった懸念があるとのこと。

そんな中、素晴らしい音楽を見せていただいて本当にありがたいです。

 

最後の曲前、MCで彼らから今回のツアー、お客さんへの感謝の言葉とともに、

今後の幸せを祈願する言葉をいただく。

もったいない。

こちらこそ本当にありがとうとともに、今後のご繁栄を祈ります。

早くつまらない戦争が終結しますように。

そしてまた日本に来ていただきたい。

何度でも聞きたいし、見たい。

そしていろんな人に見てもらいたい。

 

 

そして、昨日の日曜は、

ここのところ何度か拝見させていただいている

井野信義さんがいらっしゃるということで、

ウチから一山超えた生越というところにある、

山猫軒というギャラリーカフェにフリー演奏のライブを見に行ってきました。

 

山猫軒は写真家でもある南達雄さんがご自身で建てられたログハウスでして、

生越の街を抜けた山の中にある。

今までに昼食やお茶に伺ったことはありますが、

夜行くのは初めて。

 

真っ暗な山道を抜けて山猫軒が見えてくると、

本当に「注文の多い料理店」のようだ。


 

以前の記事でも少し書きましたが、

南さんは写真家として故 高柳昌行さんの写真を多数取っておられ、

一時期は専属カメラマンとしてライブに帯同なさっていたとのこと。

井野さんも高柳バンドの元メンバーでもあり、

その縁から山猫軒の建設作業にも参加なさっていたとのことで、

お二人は旧知の友人関係。

すごくリラックスしたムードでの演奏となりました。

 

ピアノの山口コーイチさん、コントラバスの不破大輔さん、

そして同じくコントラバスの井野さんのトリオ演奏。


皆さん本当にすごい音楽家で、演奏が始まるとどんどん引き込まれる。

 

フリー演奏なので、いわゆる「曲」として聴くのではなく、

全体を「感じる」。

山猫軒の雰囲気、山の空気、演奏の合間に聞こえる虫の声、

すべてが混ざり合って完全になる。

 

御三方はそれぞれが出した音にそれぞれが反応してまた音を生み、

それが世界を作っていく。

自身の音が即他者の音であり、他者の音が即自分の音。

言葉にすると矛盾になってしまう

そんな音楽。

 

色即是空空即是色

論理を超えているので、ことばで形容ができない。

ただただ圧巻でした。


 

終演後、勇気を出して井野さんにご挨拶。

横で聞いてた妻から、緊張しすぎてすごく早口だったと指摘される。

いい歳してちょっと情けないが、大先輩の前ですので仕方ない。


 

そんな幸せな音楽体験を2晩させていただき、

いよいよ来週は自分の演奏です。


 

こうしてすごい音楽を見聴きすると、

自分に不安と疑問が浮かんだりもしますが、

まぁ考えるだけ無駄だろう。

しっかりと丁寧に自分の音楽を紡いでいくしかない。

 

 

 



 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿